
2026年3月20日、兵庫県三田市にて中高生向けアントレプレナーシップ教育プログラム「アントレクエスト三田2026」を開催しました。関西学院大学 社会連携・インキュベーション推進センター、KSAC(関西スタートアップアカデミア・コアリション)との共催により実施し、RPG感覚で起業を疑似体験する1日を通して、参加者のマインドセットに大きな変化が生まれました。本記事ではその実施内容と成果をご報告します。
開催概要
| プログラム名 | アントレクエスト三田2026 |
| 開催日 | 2026年3月20日(金)10:00-18:00 |
| 会場 | 関西学院大学 SparkBase |
| 対象 | 中学生・高校生 |
| 主催 | 関西学院大学 社会連携・インキュベーション推進センター/KSAC |
| 協力 | みなと銀行 |
| 後援 | 文部科学省、兵庫県、西宮市、三田市、神戸市、三田市教育委員会、ひょうご神戸スタートアップ・エコシステムコンソーシアム |
| 運営 | 株式会社Armory |
また、前日には大学生フェロー(ファシリテーター)向けの研修を実施。6名の大学生が中高生に伴走するための研修を受け、当日は若年層に近い目線で参加者をサポートしました。
プログラム内容:8つのクエストで起業体験
参加者はチームを組み、RPG形式の8つのクエストを通じて、チームビルディングから事業計画策定、資金調達、PR、予実管理までを一気通貫で体験しました。
第1章:他のチームが羨ましがる魅力的なチームを作ろう

クエストオリジナル診断を活用し、「勇者・剣士・賢者・魔法使い」の4タイプで自己と他者を理解します。チーム内のコミュニケーションツールとして機能し、チームの活性化につながります。
第2章:解決できたら誰かが喜ぶ課題を設定しよう
自分自身・身近な人・第三者が抱える課題をブレストし、「緊急性」「課題の深さ」「情熱」の3軸でスコア化。チームで1つの課題に絞り込むプロセスで、多様な視点と合意形成の難しさを体感します。
第3章:自分たちならではの視点でビジネスを構築しよう
ユーザー視点でどんな価値にお金を払いたくなるかを考え、簡易的にアイデアをアウトプット。緻密な計画より早く仮説検証を回す重要性を伝えます。
第4章:投資したいと思える事業計画を策定しよう
擬似市場(100万円)の中で売上目標・商品単価・販売数を設定。商品作成費用をフォーマットに記入し、利益構造(損益計算書)を感覚的に理解します。
第5章:アイデアを形にするために必要な資金を調達しよう

事業計画をもとに、金融機関役であるみなと銀行の担当者に直接プレゼンテーション。擬似マネーでの融資提案を通じて、社会との最初の接点を体験します。
第6章:ユーザーに価値が伝わるPRを設計しよう

Canvaのテンプレートを使い、サービス内容・ビジネスモデル・ユーザー・課題を可視化。限られた時間の中で自社の強みを客観的に言語化します。
第7章:一番利益を出すためのPRを実施しよう
各チームが広告宣伝費を支払い、10のペルソナに対してPRを実施。販売結果を数値化し、赤字・黒字を明確にします。本回は5チーム中3チームが黒字を達成しました。
第8章:今日の体験を最大化するアクションプランを考えよう
全チャプターを振り返り、自身とチームの結果、今後にどう繋がるかを言語化。一過性の学びで終わらせない設計です。
成果:数字で見るマインドの変化
事前・事後アンケートの定量データから、参加者のマインドに明確な変化が確認できました。以下、特に注目すべき結果をご紹介します。
失敗への抵抗感が劇的に低下(−1.23pt)
「みんなの前で挑戦して失敗するのは恥ずかしいことだ」という設問の平均スコアが、受講前の3.11から受講後は1.88へと大きく低下しました。RPGの世界観に没入しながら失敗を恐れず仮説検証を繰り返す体験が、「挑戦する文化」のマインドセットを育んでいます。本プログラム最大の成果の一つです。
継続的な挑戦意欲・自己理解が100%
事後アンケートで「継続的に何かにチャレンジしていきたい」「自分の強みがあると感じる」「今日学んだ視点は明日からの生活に活かせそう」の3項目について、参加者全員(100%)が肯定的に回答しました。一過性のイベントに留まらず、次の行動へと駆り立てる成果が得られています。
当事者意識の醸成(93.8%)
「うまくいかないことがあった時、周りのせいにせず『自分には何ができたか』を考えられるか」という問いに、93.8%が肯定回答。他責思考から自責思考(当事者意識)へのマインドアップデートが確認できました。
自己効力感・起業意欲ともに向上
「社会や誰かの役に立つアイデアを生み出す力がある」は3.95→4.19(+0.24pt)へ、「将来、自分で事業を立ち上げることにワクワクする」は4.32→4.50(+0.18pt)へと上昇。事業計画策定や資金調達といった本格的なビジネス体験を経てもなお、起業へのモチベーションが高まった点は特筆すべき成果です。
NPS +37.5、87.5%が「夢中になれた」
他者推奨意向を測るNPS(ネット・プロモーター・スコア)は+37.5を記録。参加者の50%が9〜10点をつける「熱狂的な推奨者」となりました。また、難易度についても87.5%が「ちょうど良くて夢中になれた」と回答しており、中高生という幅広い年齢層に対して適切な難易度調整ができていたことが証明されています。
大学生フェローは「共に挑むパートナー」(93.8%)
「関わってくれた大人は、指導者というより一緒に課題に挑むパートナーだと感じたか」という問いに、93.8%が肯定回答。ティーチングではなくコーチングの手法が体現され、年齢や経験に関係なく挑戦できる環境づくりに貢献しました。大学生フェロー自身にとっても、ファシリテーション能力の習得やマネジメント体験となり、自身のキャリアにつながる学びの機会となっています。
参加者の声
起業って難しいものだと思って遠ざけていたけれど、よく考えて仲間と助け合えば素晴らしいアイデアを生み出すことができ、私たちのチームワークならやり遂げられる!という前向きな気持ちになれた!
中高生参加者
仲間とチームを組むこと、意見を出し合い纏めること、事業を生み出し銀行に融資してもらい、実際にPRすること。そうした今回の経験は私の大きな糧になりました。今後もアントレプレナーシップを持って取り組みたいと思います。
中高生参加者
普段自分だけでは見れなかったり、学校の友達とはそういう話をしないのでわからなかった視点を持つことができてとても楽しかった。RPG形式で想像もしやすかった。
中高生参加者
本当に体験型で、没頭することができました。指導員がいたこともあるが、話しやすい環境であったので、非常に取り組みやすい環境でした。
中高生参加者
広域からの参加者、そして今後の展望
今回特筆すべき点として、近隣だけでなく大阪府・奈良県・岡山県など、車で1時間半以上かかる遠方からの参加が目立ちました。「プログラムの価値が正しく伝われば、距離の壁を越えて参加してもらえる」という手応えは、今後の広域展開に向けた大きな自信につながっています。
アントレプレナーシップ教育は、単発のイベントではなく、地域全体で子どもたちの挑戦を支える「文化」として根付かせることが重要です。そのためには大学・民間企業・行政・学校現場が連携する「三位一体の協力体制」が不可欠であり、今後も各地域のエコシステムと接点を広げながら、継続的かつ発展的に実施してまいります。
アントレクエストの導入をご検討の方へ
アントレクエストは、自治体・大学・学校・企業など、地域のエコシステムに合わせて柔軟に設計可能なアントレプレナーシップ教育プログラムです。1Dayの体験型から年間継続まで、目的や対象に応じてカスタマイズいたします。導入をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。